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感無量

そうか、今期で「恋のから騒ぎ」終了、17年の歴史に幕ですか。
ひとつの時代が終わりますね。
この番組はバブルの頃の調子にのった若い女の子を、成敗(笑)する番組だったんだけど、
バブルが終わってずいぶん様変わりしましたよね。
このから騒ぎと、「あっぱれ」で、さんまは素人いじりの腕を磨いたんですよね。
それがのちの「御殿」に繋がったわけで。
三枝、欽ちゃん、さんまと繋がる素人いじり芸の後継者は誰か、まだ見えてきませんね……。



ところで、誰よりもこの番組に感謝しなきゃならないのはエビゾーだよな。
から騒ぎがなければ、嫁に出会えなかったんだから。(笑)




 

今日のごはん


【今日の体重】

-1㎏


【食事】
・朝:ベーコンエッグ
ごはん一膳

・昼:チャーハン
ラーメン注意

・夜:キャベツ・ニンジン・ブロッコリーのサラダ



 

MIKIKOでググッてみたらTDMのページを発見した

「MIKIKO」でグーグル検索してみたら、こんなモノを発見しました。
’08の東京ダンスマガジンより。

演出振付家 MIKIKO ~ BALANCE CONTROL ~



ニューヨークから帰ってきたMIKIKOが驚いたのは、教え子・Perfumeの大ブレイク。VAXとして全国区にその名を知らしめ、裏方宣言をした彼女が日本に持ち帰ってきたものは、濾過されたピュアでまっすぐな気持ちだった。広島と東京、そしてニューヨークでの時間が彼女の感性に与えたモノ、彼女が、今思うコトを語ってもらった。

演出振付家 MIKIKO

多種多様なダンスの経験を元に、ダンサー・振付師として注目される。デザイナー・モデル等、多岐に渡って活動する中、2005年より本格的に演出家としての活動を開始。作・演出・振付の全てを手がけた舞台『DRESS CODE』では、MIKIKO独特の世界観を繰り広げ、注目を集める。2006年より舞台演出の勉強と自分磨きのためニューヨークへ渡米。2008年2月帰国。帰国後も、Perfumeの振付・ライブ演出を手がける他、様々なCM・PVの振付を行う。

空間を色づけ、まるで音が見えてくるような振付は、歌詞の世界感を視覚で広げ、踊り手の魅力を最大限に引き出す。『五感に響く作品作り』がモットー。

http://www.amuse.co.jp/mikiko/
http://apt811.net

イメージよりかわいく3人に振りが付けられた瞬間は快感 (笑) 。

TDM:まず、1年半のニューヨーク滞在から今年2月に帰ってきて、ずっと色々お話を聞きたかったんですよ。最近は、Perfumeの振付師で活動されてますね。

MIKIKO:私、帰って来るまで彼女達の今の状況を全く知らなかったんです。(笑) 。もともと、広島で彼女たちが小学校5年生の時からダンスを教えていて、その当時からずっと見てきているから、今こんな状況になっているのがなんだか不思議な感じですね。ブレイクのきっかけを作ったと言われる“チョコレイト・ディスコ”という曲からは、私はニューヨークに行っちゃって、ビデオレターで振付けたんですけど、実際に彼女たちがどういう風にブレイクしていったのかをリアルタイムに見ていないので、日本に帰ってきてからオリコン1位だのテレビ出演だのって聞いて、びっくりしました。でも、ずっとあきらめずに頑張ってきた姿を見ているから、素直に嬉しいですね。

TDM:彼女たちを手がけていて意識していることは?

MIKIKO: 例えば、人はCDを聞きながら、何らかのイメージを浮かべますよね。それで、彼女たちが踊っているのを観たときに、さらに、世界観が広がるように振付けたいですね。曲を聴いてPVを観るとガッカリするのではなくて、踊りを観て、歌詞が聞こえてくるような。あとは、3人が一番かわいく観える踊り方。この3つを気にして創ってます。

私が振りを渡して、頭の中で考えていたイメージよりかわいく3人に振りが付けられた瞬間は快感 (笑) 。さっきも言ったように、デビュー前から教えていて、デビュー後も楽曲の振付やステージの演出をさせてもらっているので、ずっと昔から知っているからこそ、彼女たちも私の好みや、要求することをすぐにわかってくれるんです。「MIKIKO先生の言うドン!っていうのはこうだ!」って3人が嗅ぎ取ってくれるから、そういう信頼関係の上だからこそ成立する部分もあると思います。

TDM:彼女たちにとっても心強い支えになっていて、信頼できる存在だと思うんですが、彼女たちに対する想いや、彼女たちにとって“こういう存在でありたい”っていう気持ちはありますか?

MIKIKO: とにかく、周りがどんなに変化しようと、“3人の魅力を最大限に引き出すこと”だけにこれからも集中していきたいですね。それは、3人がこうやってブレイクする前からこだわってきたことだし、何か突飛なことをして突然ブレイクしたわけじゃなく、今までぶれずに続けてきた貯金を、やっと評価してもらえるようになったと私は思っているので。

彼女たちがスクール生の時期、それから東京に出て来てもがいてる時期、いろんな夢が叶い始めた今、それから未来を私はずっと同じ距離感で見守っていたいです。この2つが一番長く彼女たちに関わっている“先生”として、してあげられることですかね。

アンダーグラウンドの人にもカッコいいって言ってもらえるものを、
オーバーグラウンドでも創っていきたい。


MIKIKO:たいてい、アーティストの振付って単発で頼まれたりするんですけど、こんなに長い期間、同じアーティストに携れるのは、本当に有難いことだと思いますね。新しい曲が来るたびに、「じゃ、今度はこういう所を引っ張り出そうかな」と、楽曲でバランスが取れるので、一曲に詰め込まなくてもいい。だから、Perfumeのいろんな良さを引き出せているのは、一人が振付けている強みだとは思います。

とにかく、リスナーが3人を見て、もっとその曲を好きになってもらうことや、曲を聞いていて、振りが見たくなる、映像を見ながら曲が聞きたくなるって思ってもらうことが、やっぱり振付師の任務なのかなと。

ダンサーの知り合いから「Perfumeの振付いいね!」って言われたりするんですけど、すごく嬉しいです。ニューヨークから帰ってきて、Perfumeの振付をしたり、舞台の演出をしたりして、私は今の日本のダンスシーンから離れている部分はあるけど、アンダーグラウンドの人にもカッコいいって言ってもらえるようなものを、オーバーグラウンドでも創っていきたいですね。

分けるつもりはないけれど、アンダーグラウンドのよさを知っているという“強み”を持って、メジャーで仕事をするというのは、ポリシーとして持っておきたいから、どっちにでも通用するものを創ることが自分の目標ですね。ストリートダンサーに「カッコいいじゃん」って言ってもらったり、ダンスを知らないおじさんやおばさんにも「ダンスって良いね」って言ってもらいたい。“架け橋になる”なんて大げさなことではなくて、ただ単にどっちの良さも知ってるから。

今でもVAXのみんなの活躍を聞くと、奮い立たされる。

TDM:もともと、地元の広島で活動してましたよね?

MIKIKO:はい。広島のダンスシーンを盛り上げたい!と思って広島で活動してたんですけど、20代前半のあるとき、石川浩子さんと久保田冬子さんがワークショップに来て、その時に東京でMAXのバックダンサーのオーディションの話を頂いたんです。「まぁ、受かるわけはないと思うけど、受けてみようかな」と思って受けたら、受かった。それがVAXです。YOSHIEちゃん、KETZちゃん、TOMOちゃん、AKANEさん、SATOMIさん、そして私。

それから約5年間、東京と広島の往復の生活で、毎週1回は新幹線に乗って行き来の生活でしたね。その後、東京で半年、そのあとニューヨークで1年半過ごし、現在の東京に至ります。今でもVAXのみんなの活躍を聞くと、奮い立たされます。本当にたくさんのことを経験させてもらったし、メンバー誰もが素晴らしいダンサーであること以上に、いち人間として尊敬できた。それがこのメンバーに出会えた一番の収穫だし、誇りです。

そうやって、東京ではダンサーとしての仕事や、VAXでのショウタイムをやりながら、広島では教えと振付、それから舞台の演出をやっていく生活の中で、だんだん演出や振付への興味が大きくなっていきました。その想いが強くなりすぎて、広島で創ったのが『DRESS CODE』という舞台。

TDM:この『DRESS CODE』のDVDジャケットにある文章、素敵ですね。

この舞台の主役は20代の『オンナノコ』達
21、22・・25・・・
年下は、憧れる
同世代は共感する
そして人生の先輩たちは、大人になった気でいるカノジョ達をほほえましく思う
そんな時・・・
彼女たちは自分の存在する意味を見つけるために
ある日は、自分にタイトルをつけ、出かけてみる
ある日は、『素敵女の作り方』が書いてある参考書を、読みあさってみる
ある晩は、泣き疲れた自分の顔を鏡で見ながら、もくもくとお菓子を食べてみる

ピンと来ない日
なにかにアセる日
ホウキしたい日
でもこれでイイんだと喜ぶ日



「ミツケタイナ」と願う日々

それで良い。

~GIRLS PERFORMANCE THEATER Photo-Shop-Band 『DRESS CODE』より~

MIKIKO:実はこれはこの舞台に出ていたメンバーも含め、広島で私のずっと育ててきた生徒に対するメッセージでもあるんです。正直、この舞台が終わるまでは自分が拠点を完全に東京に移すとも思ってなかったんです。なぜなら“場所は関係ない”というのが、私のこだわりだったから。昔から、広島(地方)で通用しない人が東京で通用するわけないし、日本で通用しない人が世界で通用するわけがない、イコール、どこにいてもすごい人は呼んでもらえる。・・・みたいな方程式が私の中に勝手にあって (笑) 。実際に広島にはTAKAさんやPEETさん、それからHOOPLAのように、全国区で通用する先輩や仲間がいます。

だから、自分を試す意味でも広島から離れないようにしていた部分も実はあったし、まずは生徒を迷わせたくなかったから、大変でも必ず広島には帰って、レッスンするようにしていました。だからこそ、拠点を東京に移すと決めたのは“ダンサーとして”ではないんですよ、絶対に。広島での教えを通して、私は生徒や仲間からモノ創りの楽しさを学ばせてもらいました。だから、ここから私がしないといけないのは、“先生”として留まることではなくて、“演出振付家”としてレベルアップすることなんです。正直、体当たりでぶつかりあった生徒や仲間と離れるのは想像以上にしんどかったけど、私が広島を離れた意味を感じてもらえるように、もっと大きな背中になれるように、頑張るのみです。

キネマ倶楽部の雰囲気というか、EGO-WRAPPIN'とか椎名林檎とか、大正ロマンみたいなイメージが好きで、曲を聞いていると舞台でこうしたいっていう画がバーっと見えてくるんです。SOIL&“PIMP”SESSIONSっていうジャズのバンドの楽曲も好きで、『DRESS CODE』でも彼らの楽曲の雰囲気に影響を受けています。目標としては、いつか彼らの曲だけで一つの舞台を創り上げたいです。これはニューヨークで強く思うようになったことなんですけど、要は日本のアーティストの楽曲だけで舞台を創り上げたい。それを逆輸入されたいです (笑) 。

肩書きは「演出振付家」。いちアーティストとして所属すること。

TDM:この頃はまだ現在所属しているアミューズさんに入ってないですよね?入ったきっかけは?

MIKIKO:舞台作品をアミューズの会長が観てくださったことがあって、その中で気に入ってくださったナンバーが、全部私の振付だったらしくて。その後『DRESS CODE』を広島まで観に来てくださって、“君は本格的に演出の勉強をした方がいい”と言われ、所属アーティストさんと同じ立場での、「演出振付家」っていう肩書きで活動させてもらえることになりました。クリエーターをアーティスト扱いしてもらえることに感謝しているし、その考えがワールドワイドで素晴らしいし、こうやってダンスに関わる仕事の地位が上がっていけば嬉しいと思います。

TDM:その契約はダンサーにとってはすごいことですね!ニューヨークには何を目的に行ったんですか?

MIKIKO:舞台演出の勉強のためにニューヨークに行かせて頂いたんですけど、会長からは「感性を磨いてきなさい。」っていうことしか言われなかったんです。その大きすぎる課題と、突然決まった渡米だっただけに、もちろん不安は一杯でした。

ニューヨークでの生活は舞台をできるだけたくさん観ること。ブロードウェーはもちろん、自主公演やアフリカンスタジオのパフォーマンスとかまで、好き嫌い問わず、いろんな舞台を観て、そのレポートを毎月提出することが条件でした。あとは、語学学校と、ダンスレッスンに通う日々。毎日いろんな舞台を観たけど、どうしても最後のスタンディングオベーションでいつも泣いちゃうんです。なんだかその舞台に賭けてきた想いや苦労が伝わってきたし、自分の小ささを痛いほど感じた。同時に自分ももっとできるはず!って悔しかったりもして。

でも、最終的にニューヨークで学んだ教材を元に、外国人の物まねをするのではなく、逆に日本人の良さをいかに引き出すかががテーマだなと。帰国して改めて感じたのは、日本には世界に誇れるダンサー・クリエーター・アーティストがたくさんいる。捉え方次第ではこんなに面白い国はないですよね。

向こうですごく感じたのは、日本のダンスシーンへの評価が高いこと。現地のダンサーは皆、日本に呼ばれることにステータスを感じていたし、日本人ダンサーを羨ましがってたのが意外だったし印象的でしたね。

個人としては、自然体になりました。好きな色も変わったし、音楽の趣味も、昔はヒップホップやR&Bばっかり聴いてたのに、今は全然聴かなくなって、ジャズとかを聴いてると「やっぱり好きだな~」って反応するようになったり。対“ヒト”から対“ジブン”になれたことが一番大きいですね。

広島、東京、ニューヨーク・・・そして、今。


MIKIKO:ニューヨークに行く前に、“広島でやった舞台『DRESS CODE』の台本を、ニューヨークでリメイクして帰ろう!”という目標が自分の中であって、その目標がありながら、現地で色々なものを観たほうがすごくリアルに毎日を感じれると思ったので、帰るまでにそれを完成させて帰りました。そういう意味では達成感はあったけど、やっぱりどう変わったかは自分では正直分かりません。だけど、自分の中での考え方が確実に変わった。もう、それだけで良いなって思いました。

TDM:その自分の変化を日本で感じるときはありますか?

MIKIKO:良くも悪くも、評価を気にしなくなりましたね。前は、こういうのを求められてるのかな~?と相手のことを探って創ってたんだけど、まず、「コレがこの子たちに合ってると思います」って提案できるようになった。迷いがなくなったんですよね。

前は否定されるのが怖くて、それによって傷つきたくなかっただけ。ニューヨークから帰ってきて、とりあえず自分を表現してみて、それから、「この振りは合ってませんね」って言われたら、そこから直そうっていう風に思えるようになりました。否定されても良いから、まずやってみようっていう度胸がついたというか。自分を表現することに対して、あんまり怖くなくなりましたね。表現すること、イコール、評価されることだから賛否両論あるのは当たり前。“だったら自分に妥協せず創るだけ”っていうシンプルな答えが生まれてきて、強くなったというか、この職業に対して腹がくくれた感じがします。

TDM:ディレクターという裏方として、ダンサーというプレイヤーとの感覚に違いはありますか?

MIKIKO:プレイヤーだと、本当に自分を良く見せることを考えるよりも、目立つことを考えちゃったりしますよね。例えば、そこは踊らないほうが、その人が素敵に見えたりすることだってあるし、少ししか踊れない歌手が一生懸命踊っても、逆に素敵に見えなかったりする。だから、ある程度抑えたほうがいい、っていう技術もある。そういうバランスがディレクションだと思うんです。だから、私は、「MIKIKOがディレクションしました!」って部分を褒めてもらうよりも、「あの子、すっごいかわいく見えたね!」とかっ「あのダンサー、曲のイメージに合ってたね」って言われたほうが嬉しいですね。

TDM:ダンスの魅力を形にする素敵な仕事ですね!今日はどうもありがとうございました!



'08/10/10 UPDATE

僕は初見でしたが、懐かしい人には懐かしい記事でしょうね。
リンク先がいつまであるか分からないから、記録としてコピーしちゃいました。すいません。

嘘ニュース

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「セラミックガール」



 青少年勤労センターという施設がある。働く若者の、コミュニケーションやスポーツ、サークル活動などを支援する公的施設である。
 浩司はその施設の二階の会議室で、重苦しい空気の中ミーティングに顔を出していた。
 彼の所属する、高校生が中心になったアマチュア劇団で、ちょっとした問題が起こったのだ。
 ホワイトボード前の会議用テーブルで、泣かないはずのあの娘が泣いていた。

 その劇団は、地元の各校演劇部の有志たちが、学校の課外活動という枠を超えて、自由に芝居がやりたいとの思いで立ち上げたものだった。
 何かと規制があったり、コンクールに参加させられたりで、本当にやりたいことができない、と彼らは考えた。
 だが、実際に一から全部自分たちの手で立ち上げ、運営してみると、何一つすんなりとはいかないのだった。大人たちの助けがあってこそ出来ていたことが、いかに多かったか思い知らされたのである。
 彼も、役者の真似事をしていただけで、まず練習場所をどこにするか、どうやって集まるかなどという仕事については、大して役に立たなかった。
 劇団には高校生ながらカリスマ的なリーダーがいて、彼の人望で(特に女の子が)集まったようなものだった。だが当のリーダー氏も、実務的なことはいささか苦手なようであった。

 そんな時。
 ご多分にもれずリーダー氏に憧れて入ってきた、ある女子高生が、極めて実務に有能であることが分かったのだった。
 聖美という名のその女子高生は、精神的にタフで、明るく、どんな大人とも対等に渡り合った。
 まず、プロ劇団に見学に行った聖美は、自分の仕事が「制作」と呼ばれるものであることを知った。
 それから、練習場所として青少年勤労センターを見つけてきた。そこは、18歳以上で独身の勤労青年が団体登録すれば、夕方からでも無料で使えるのだった。
 聖美はすぐさま自分の兄を連れていって、名目上の主催者とし、劇団の登録に成功した。
 お兄さんは無論、一度も練習には来なかった。
 聖美は怪訝な眼を向けるセンターのスタッフに、平気な顔で、ニコニコと挨拶した。

 劇団の中で小競り合いや諍いがあっても、へっちゃらだった。彼女の手にかかれば何事も解決し、でなければ一喝されて終りになった。
 リーダー氏はもちろん、劇団員たちは彼女の迫力と実力に感服した。
 何かのドラマのセリフではないが、制作というのは「劇団のお母さん」みたいなものなのだった。
 彼女は、日々の肉体訓練と発声練習の合間を縫って、劇団としての枠組みを着々と作り上げていった。まるで鋼……いや、特殊なファインセラミックスで出来ているかのようにタフであった。

 やがて、脚本が会議で決まると、躊躇なく出版社経由で劇作家に手紙を書き、上演許可を求めた。
 噂によると、電話をかけてきた劇作家と堂々渡り合い、脚本使用料を無料にしてもらったらしい。

 さっそくミーティングを開いて、劇団内の役割分担を明確にした。
「で、私はこの『制作』という仕事をします。えっと、手伝いに由紀ちゃんと圭介くん、お願いします。今日、渡しはこの本を持って帰って、家のお父さんの事務所でコピーします。明後日の練習日までに人数分製本しますので二人は私んちで手伝ってください」
「はい」
「よろしくな」リーダー氏がにっこりしながら、聖美に片手拝みした。

 で、このミーティングになったんだ、と彼は物思いから覚めた。 
 リーダー氏はいい奴だし、劇団と関係なく以前からの友人でもある。ただ、こういう時はあまり頼りにならなかった。
 実は聖美のお父さんというのが、弁護士だったらしい。おまけに、市の青少年育成ナンチャラ委員会みたいなところの理事をしていたらしい。
 弁護士事務所で娘が脚本をコピーしているところへやって来て、何の気なしに脚本を手にとったのだそうだ。その脚本にはいわゆる「性描写」めいた部分があった。
 で、その弁護士先生は、娘を連れてこの青少年センターへと乗り込んできた、というわけだった。
「私は劇団活動自体は素晴らしいと思います。ただ、この箇所だけは削除すべきと思う。ほとんどの方は未成年なんですから、問題になってからでは遅いと思うんです」
 とか何とか言って、去っていった。後は俺達の良識に任せる、というわけだ。
 ヘドが出る。ああいう言い草には。
 浩司が立ち上がって、発言した。
「俺らはそもそもああいうのが嫌で劇団作ったんだよな、確か。別に関係ねーじゃん。やっちゃえばいいんだ」
 団員の大多数が頷いた。
「いや、でもそこまで大事なシーンでもないし、未成年のメンバー、特に高校一、二年の子らは、やっぱ学校とトラブったらまずいって。俺そんな芝居の事とか分かんねーけど、そんな大げさに考えることでもなくね?」こう言ったのは、大道具の聡だ。この意見に、みんなが不安そうな顔になった。
 浩司はヤバイ、と思った。この空気、何となく妥協するとき特有の曖昧な自己正当化の空気だ。
 負けだな、と浩司は思った。あのおっさんより、こいつらに負けた。浩司は身体が震え始めた。人は真剣に怒ると、ほんとうに体が震えるのだな。ちらっとそう思った。
 聖美は、ずっと顔を伏せたまま、耳を真っ赤に染めて泣いていた。
 リーダー氏が、すまん、という顔を浩司に向けて、ゆっくり立ち上がった。

 帰り道、浩司の後から、聖美が追ってきた。
「浩司くん、ごめんね、ごめんね」そう言い募った。
「いや、別にあんたのせいじゃないって。……あのヘタレ共に腹立ててんだ。あんたのお父さんのさ、立場に立ってみれば無理ないしな」
「うん、ごめん」
「まあ、あのシーン、カットするならする、変えるなら変えるでさ、また手紙書かないとな」
「あ、そうだね、うん」
 沈黙。
「余計なこと言っていい?」おもむろに浩司が言った。
「なに?」
「あいつに好きなら好きって言いなよ。早くしないとライバル多いよ」
「もう! ほんとに余計だよ!」そう言って、浩司の背中をバーンと叩いた。

 他の女子のグループに加わった彼女を見ながら、浩司はさっきのことを思い出していた。
 力いっぱい、全力で涙を止めようとしていたあの顔。
 あのリーダーのヤツの前では、出来るなら絶対あんなトラブルを持ち込みたくなかったし、泣き顔を見せたくもなかったに違いない。
 しかし、その自尊心の支えを失ったとき、彼女の心は陶磁器のように壊れたのだった。
 子供のような顔で、手放しで泣いていた。

 やべ。……浩司は思った。ため息をついて、駅への道を急いだ。心のなかでつぶやきながら。

 やべーよなー。まいったな。どうしよう。やべーなー……。

 満月が彼の影を、冷たい歩道に落としていた。




プロフィール

髭熊船長

Author:髭熊船長
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